広報ブログ

こちら広報室ゆめ子が行く!

医師コラムvol.16

~腎臓は症状がでにくい臓器です~

腎臓内科  
西田順二医師

 私たちの体は、大半が水分から構成されています。その水分は血液という形で全身をまわり、腎臓で老廃物を排出します。腎臓が悪くなると、血液をきれいに保てなくなります。片付いていない家で暮らしていると考えると想像しやすいかもしれません。
 腎臓は、左右で約200万個ものネフロンと呼ばれる浄化装置を持っています。その装置は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病などにより徐々に壊れていきます。
 健康診断で腎機能異常を指摘される段階は、実は50%以上のネフロンが壊れている状態です。残されたネフロンにその分負荷がかかるため、腎機能は悪化しやすい環境にあるといえます。困ったことに腎臓は悪くなっても症状が出にくいのですが、体には確実に害が及び、放置していると致死的な状況に陥ることさえある怖い病気です。
 腎臓は手が付けられなくなる前に対策をとることが大切です。高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症などは、腎臓を悪くする原因になります。これらの生活習慣病は、塩分制限を中心に食生活に気を付け、喫煙を避け、運動習慣を身に付けることなどで予防につながります。
 しかし、それだけでは不十分な場合もあります。もし健康診断で異常が見つかりましたら、医療機関を受診するように心掛けてください。早めの対策が腎臓と体と日々の暮らしを守ることにつながります。

医師コラムvol.15

脳の血管内治療
~切らずに治す最先端医療~

 

Dr.sakaida1阪井田 博司医師
桑名市総合医療センター 脳卒中センター長
桑名西医療センター  脳神経外科部長

 

 

 皆さんは血管内治療という手術法をご存じでしょうか。血管に細いカテーテルを挿入して、病気の部分を塞いだり広げたりする治療法で、局所麻酔でも可能な体に負担の少ない最先端医療です。治療はたいてい足の付け根の血管からカテーテルを入れます。「何でそんな遠い遠いところから・・・」と不思議に思うでしょうが、その方がカテーテルを入れやすく抜いた後も安全だからです。

 突然発症する脳血管障害の総称として脳卒中という言葉が広く使われていますが、「卒」は「突然」、「中」は「何かにあたる」という意味があることは意外に知られていません。

 脳血管障害は、脳出血やクモ膜下出血などの出血性脳血管障害と、血管が閉塞する脳梗塞などの虚血性脳血管障害に分かれます。残念ながらその多くは前兆がありませんが、時に頭が痛くなったり、片方のまぶたが下がって物が二重に見えたり、一時的に片麻痺や呂律が回らない、片目が見えにくくなる、といった症状が出ることがあります。

 もしその様な症状があったらMRI検査を受けると安心です。MRIは放射線を用いないため基本的に体に害のない検査ですし、病気が見つかってもすぐに外科的治療を要する
のは一部の人ですが、このような人に血管内治療が有効な場合が少なくありません。

 平成30年春に開院する「桑名市総合医療センター」には、専門スタッフと高性能機器を集約して「脳卒中センター」を開設します。
「脳卒中オール・イン・ワン」をキャッチフレーズに、この地区の脳血管障害の患者さんが、迷わず適切な治療を受けられる体制整備を進めています。

医師コラムvol.14

~自分の乳房をチェックしていますか?~

 

Dr.ito

桑名西医療センター
乳腺外来(非常勤医師)
伊藤 みのり 医師

 

 乳がんになる人は年々増えており、最近では女性の12人に1人の人が乳がんになると言われています。乳房は自分で触って、見ることができるため、自分で検診すること(自己検診)ができます。乳がんになった人の60%以上は自分で発見したとも言われています。
 「しこりがないか」、「左右を比べて差がないか」、「乳房にへこみがないか、皮膚がひきつれてないか」、「乳頭乳輪がただれていないか」、「乳頭から血が混じったような分泌物がないか」、こういった内容を月に一度程度チェックしてみてください(乳房がやわらかくなる月経終了から一週間ごろをおすすめします)。
 「触ってもよくわからないのでやっていません」とよく伺います。しこりなど症状がある(=乳がんの可能性がある)人は少ないため、何も無い場合がほとんどなのです。「よくわならない=何も無い可能性が高い」という事と判断してください。ただ、普段から触って自分の乳房がどんなものなのかを分かってないと、本当に症状が出て、その変化に気づく事ができません。
「乳がん検診‼」と気負わずに、月に一度はお風呂に入る時に鏡の前で自分の乳房を見て、手で丁寧に乳房を洗う程度の気持ちで行ってください。
 40~50歳代の女性で見つかることが多いですが、どの年代でも乳がんになる可能性はあります。また、少ないですが、男性でも乳がんになることもあります。乳がんは早期に治療を行えば90%の人が治ると言われています。早期発見するためには、月に一度の自己検診と1~2年毎の乳がん検診をお勧めします。

医師コラムvol.13

~痙縮のボツリヌス療法とは~
そのつっぱり、治るかもしれません

いん
桑名市総合医療センター
桑名東医療センター リハビリテーション科 
殷 祥洙医師(非常勤)

 

痙縮(けいしゅく)とは?
 脳卒中や脊髄損傷などの脳や脊髄の疾病にかかると、手足が動かなくなる後遺症(まひ)が残ることがあります。まひになると最初は筋肉がだらりとして力が入りません。しかし徐々に筋肉がつっぱてきて、ひじが曲がり、手が握ったままになる、足首がガクガクし、内側にひっくり返るなどの症状(痙縮)がでてきます。
 痙縮の治療は古来湯治やリハビリが主流でしたが、近年ボツリヌス療法が登場したことで一気に進歩しました。

ボツリヌス療法とは?
 ボツリヌス菌が産生する毒素を用いた痙縮の治療です。この毒素をつっぱった筋肉にごく少量注射することにより、安全に症状を改善します。
 個人差はありますが、手が開きスマホがもてるようになった、肩やひじが動き着替えが楽になった、足が軽くなり歩行がスピードアップしたなどの改善がみられます。なお、この効果は3~4ヵ月持続します。

副作用は?
 脱力感、注射部位の痛みなどがありますが、重篤(じゅうとく)なものはまれです。現在は、十分な安全性が確立されている治療法です。

入院が必要?
 
注射時間は15分程度で入院は不要です。

保険は効くの?
 
健康保険が適用されます。また、身体障害者手帳を所持している人は自己負担金の減免が可能な場合があります。

桑名東医療センターでもできるの?
 当センターでもこの治療を行っています。興味がある人は整形外科外来へお問い合わせください。

医師コラムvol.12

関節の「痛み」や「こわばり」ありませんか?

dr.matumoto

 

 

 

 

 

 

 

 


桑名市総合医療センター

桑名東医療センター
膠原病リウマチ内科顧問
松本 美富士医師

 

 「リウマチ」はどんな病気かについて、日本では誤解が多いのが実情です。リウマチについて説明しましょう。リウマチの「リウマ」という言葉は、ギリシャ語で「流れる」ということを意味します。紀元前400年ごろは病気の原因として「脳から出た悪い液体が流れ出て関節や筋肉を経て体中に移っていく病気」があるとして、「リウマチ」と言う医学用語が作られました。それ以来、関節や筋肉に痛みや「こわばり」がみられる病気を、全体としてリウマチ(リウマチ性疾患)と言われ、数十種類以上の病気があります。
 日本では多くの人たちが、その中の「関節リウマチ」だけを単に「リウマチ」と呼び、高齢者の病気と思っているのが現状です。リウマチは小児を含め、どの年齢層の男女にも起こることがある病気です。最近の医療の目覚ましい進歩により、発病早期に正しい診断を行えば、確実に治療が可能となり、他の病気で言う「完治」と同じ状態まで治療できることがしばしばです。すなわち、「ぼやのうちに確実に火を消すこと」がとても大切な病気です。
 リウマチという病気を正しく理解し、もし関節の痛みやこわばりが一定期間みられるようでしたらかかりつけ医に相談し、桑名東医療センター膠原病リウマチ内科を受診してください。三重県は他県に比べて、リウマチ専門医療を提供できる内科医が極端に少ない中で、リウマチ担当医の3人体制で完結型のリウマチ診療を行えるのは桑名東医療センターのみで、北勢地域、三重県下のみならず広く県外からもご紹介いただいております。

 

 

 

医師コラムvol.11

見逃さないで!そのサイン
~熱中症の手当と予防~

 

Dr.sasaki

 

 

 

 

 

 

 

桑名市総合医療センター
桑名東医療センター
救急科部長 佐々木 俊哉医師

 

 熱中症は、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態をさします。屋外で活動しているときだけでなく、就寝中など室内にいるときでも熱中症になることがあります。今回は、熱中症の症状、応急手当と予防について説明します。
熱中症の症状
 
軽症から重症になるにつれておおよそ次の3つの段階に分けることができます。
① めまい、立ちくらみ、生あくび、筋肉痛、こむら返り、大量の汗。
② 気分が悪い、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、体がぐったりする、力が入らない、集中できない。
③ 意識がもうろうとしている、気絶、けいれん、体が熱い。

応急手当
 直ちに涼しい場所に移動し安静にして、飲み物を飲むことです。飲み物はジュースやスポーツ飲料など塩分や糖分を含んだ物が理想ですが水でも構いません。できれば、衣服をゆるめ、冷水のスプレーで体を濡らしたり、濡れたタオルを当てたりして体を冷やします。
【注意】
症状が②や③の場合や飲み物が飲めない場合病院での緊急の治療が必要です。119番通報して救急車を呼びましょう。

熱中症の予防
 
熱中症情報に注意し、炎天下の外出を控えるなど、暑さを避けます。エアコンを利用するなど室温を調整します。のどの渇きを感じなくてもこまめに飲み物を補給します。高齢者や子どもは、暑さや水分不足を感じたり、体温を調整したりする機能が低下もしくは十分ではありません。周囲の人が気を配る必要があります。

医師子コラムvol.10

~熱が高い!のどが痛い!鼻がつまる!アデノウイルス感染症かもしれません~

曽我医師

桑名東医療センター 小児科部長
曽我 かおり医師

 数えきれないほどの小児のウイルス感染症の中で、迅速検査(短時間にウイルスや細菌などを検出することが出きる検査のこと)が存在するものがいくつかあり、アデノウイルス感染症もそのひとつです。高熱が続いてのどが痛くなり、鼻づまりもある、そんなとき病院でみてもらうと、白い膿(うみ)のようなものが扁桃腺(へんとうせん)についていることがあります。
 綿棒でのどをこすってアデノウイルスの迅速検査をし、陽性であればアデノウイルス扁桃炎の診断となります。他にも目が充血する流行性角結膜炎、のどと目が赤くなり熱が出るプール熱、肺炎、胃腸炎、出血性膀胱炎の一部もアデノウイルスが原因です。
 多彩な症状を示しますが、それぞれウイルスの型が違っていることが多く何もかも同時におこるというわけではありません。迅速検査ではウイルスの抗原を検出するのですが、この検査は完璧ではありません。検査して陰性でも実はアデノウイルスだったということもあります。治療は、ウイルスをやっつける薬を使用するわけではないので、その結果で治療が大きく変わるわけではありません。
 免疫が正常なら、通常は自然に治りますが、脱水があれば点滴などの治療をすることもあります。ウイルスですので抗生物質は効果がありません。アデノウイルス感染症と診断されたら、自宅で安静にし、脱水にならないように気をつけましょう。医師の許可がでるまでは、学校、幼稚園などには行かないようにしましょう。通常はそれほど重症化しませんのであまり心配しなくて大丈夫です。

医師コラムvol.9

動悸(どうき)や息切れが気になることはありませんか

 

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桑名東医療センター 循環器科医長
千賀 通晴 医師

 最近、坂を登ったときに息切れがする、胸がドキドキする、特に理由もないのに疲れやすいなどと感じることはありませんか。年のせいかなと思っていると、もしかしたら不整脈による症状かもしれません。
 近年、角界の著名人が罹患(りかん)され、社会的にも問題視されている不整脈のひとつに「心房細動(しんぼうさいどう)」があります。心房細動自体、直接命に関わることは少ないですが、放置しておくと、ある日突然に脳梗塞(のうこうそく)を起こして手足が動かなくなったり、心臓のポンプ機能が低下して呼吸困難などを起こす恐れがあります。
食生活の欧米化や高齢化のため心房細動に悩む患者さんの数は年々増加しており、60歳代で100人に1人、80歳以上になると1割近くに認められると報告されています。心房細動の原因としては、ストレス、過労、高血圧、加齢、飲酒などが代表的ですが、心臓病やホルモン異常などの疾患が隠れていることもあります。
 心房細動が疑われた際には、血液検査や心電図、心臓超音波検査などで詳しく調べた上で、薬物による治療を行いますが、最近は医療機器の進歩に伴い、カテーテルを用いた手術で根治することが可能となりました。しかし薬や手術は副作用や合併症の問題もあるため、それぞれの患者さんに応じた治療を考える必要性があります。
 動悸や息切れ等でお困りの人や、健康診断で心電図異常を指摘された際は、ぜひ一度かかりつけのクリニックまたはお近くの循環器科でご相談ください。

医師コラムvol.8

めざすはすい臓がんの根治!
~早期発見するために~

 

桑名東医療センター 消化器内科医長
野尻 圭一郎医師

すい臓がんとは?
 
すい臓がんとは、すい臓にできる悪性腫瘍です。臓器別がん死亡数では肺がん、大腸がん、胃がんに次いで第4位となっています。
すい臓がんは周りへ浸潤しやすいため、発見された段階で進行がんであることがほとんどです。
 原因は、喫煙、肥満、お酒の飲み過ぎや、すい臓病の既往(糖尿病、慢性すい炎)、すい臓がんの家系等です。初期症状はほとんどありませんが、進行すると腹痛や黄疸(おうだん:体が黄色くなる)、腰背部痛、体重減少、食欲不振、糖尿病の悪化がみられます。
 すい臓がんの根治が期待できる治療法は手術ですが、進行の度合によっては手術を行う事ができません。その場合には、抗がん剤治療や放射線治療などを行います。
すい臓がんを早期に見つけるために
 従来の検査である血液検査や腹部超音波(エコー)、CTやMRIでは2cm未満の早期がんを見つけるのは難しいとされています。そこで近年、超音波内視鏡(EUS)の登場により詳細な検査を行えるようになりました。EUSは、内視鏡の先にエコーが取り付けられた機械で、それを胃や十二指腸へ挿入し、胃腸の壁を通してすい臓にエコーを当てます。至近距離から画像を得られますので、従来の検査で捉えきれなかった小さな腫瘍が発見できます。さらに、内視鏡から針を出してすい臓の細胞を取り、良悪性の区別をする超音波内視鏡化穿刺吸引法(ちょうおんぱないしきょうかせんしきゅういんほう:EUS_FNA)を行うこともできます。
 EUSは被爆の心配もなく、検査前に鎮静剤を使いますので、通常の内視鏡より苦痛が少ないです。
 EUSは専門性が高い検査ではありますが、当院ではこの検査を積極的に行っています。上記症状をお持ちの人や、すい臓がんが心配な人は、お気軽にご相談ください。

医師コラムvol.7

あなたの足は大丈夫?

~下肢静脈瘤とその治療~

 

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  桑名南医療センター 病院長 平田和男医師

 皆さんは下肢静脈瘤という病気をご存知ですか?私たちの血管には心臓から全身に血液を送る動脈と、血液を心臓に戻す静脈の2種類があり、静脈には血液の逆流を防ぐために弁が付いています。下肢静脈瘤は足の静脈の弁が何らかの原因で壊れて血液が逆流し、静脈がボコボコと瘤(こぶ)のようになる血管の病気です。女性に多い病気と思われがちですが、男性にも多く見られます。

 主な原因は、立ち仕事やデスクワークなど長時間同じ姿勢を取り続ける事や、加齢、肥満、遺伝など、特に女性は妊娠・出産をきっかけに発病する方も多いと言われています。

 主な症状は、足の血管がボコボコと浮き出る、足がむくむ、足が重い・だる い、寝ているときに足がつる(こむら返り)などがあります。湿疹ができたり、重い方は皮膚がただれたり(潰瘍)静脈が炎症を起こす(静脈炎)こともあります。

 治療法には、足を圧迫することを目的とした医療用のストッキングの着用による圧迫療法、注射で静脈を固める、硬化療法、手術があり、症状に合わせていくつかの治療を組み合わせていきます。

 手術は比較的簡単で短時間で済み、日帰り、または一泊二日で治療することができます。

 桑名南医療センターでは下肢静脈瘤の専門外来を行っています。予約制となっておりますので気になる症状のある方は一度お問い合わせください。

 

◎静脈瘤外来
毎週火曜日 13時~15時、
土曜日   9時~12時

電話     059422‐0650

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