医師コラムvol.16
~腎臓は症状がでにくい臓器です~
腎臓内科
西田順二医師
私たちの体は、大半が水分から構成されています。その水分は血液という形で全身をまわり、腎臓で老廃物を排出します。腎臓が悪くなると、血液をきれいに保てなくなります。片付いていない家で暮らしていると考えると想像しやすいかもしれません。
腎臓は、左右で約200万個ものネフロンと呼ばれる浄化装置を持っています。その装置は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病などにより徐々に壊れていきます。
健康診断で腎機能異常を指摘される段階は、実は50%以上のネフロンが壊れている状態です。残されたネフロンにその分負荷がかかるため、腎機能は悪化しやすい環境にあるといえます。困ったことに腎臓は悪くなっても症状が出にくいのですが、体には確実に害が及び、放置していると致死的な状況に陥ることさえある怖い病気です。
腎臓は手が付けられなくなる前に対策をとることが大切です。高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症などは、腎臓を悪くする原因になります。これらの生活習慣病は、塩分制限を中心に食生活に気を付け、喫煙を避け、運動習慣を身に付けることなどで予防につながります。
しかし、それだけでは不十分な場合もあります。もし健康診断で異常が見つかりましたら、医療機関を受診するように心掛けてください。早めの対策が腎臓と体と日々の暮らしを守ることにつながります。