医師コラムvol.11
見逃さないで!そのサイン
~熱中症の手当と予防~
桑名市総合医療センター
桑名東医療センター
救急科部長 佐々木 俊哉医師
熱中症は、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態をさします。屋外で活動しているときだけでなく、就寝中など室内にいるときでも熱中症になることがあります。今回は、熱中症の症状、応急手当と予防について説明します。
熱中症の症状
軽症から重症になるにつれておおよそ次の3つの段階に分けることができます。
① めまい、立ちくらみ、生あくび、筋肉痛、こむら返り、大量の汗。
② 気分が悪い、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、体がぐったりする、力が入らない、集中できない。
③ 意識がもうろうとしている、気絶、けいれん、体が熱い。
応急手当
直ちに涼しい場所に移動し安静にして、飲み物を飲むことです。飲み物はジュースやスポーツ飲料など塩分や糖分を含んだ物が理想ですが水でも構いません。できれば、衣服をゆるめ、冷水のスプレーで体を濡らしたり、濡れたタオルを当てたりして体を冷やします。
【注意】
症状が②や③の場合や飲み物が飲めない場合病院での緊急の治療が必要です。119番通報して救急車を呼びましょう。
熱中症の予防
熱中症情報に注意し、炎天下の外出を控えるなど、暑さを避けます。エアコンを利用するなど室温を調整します。のどの渇きを感じなくてもこまめに飲み物を補給します。高齢者や子どもは、暑さや水分不足を感じたり、体温を調整したりする機能が低下もしくは十分ではありません。周囲の人が気を配る必要があります。