医師コラムvol.8
めざすはすい臓がんの根治!
~早期発見するために~
桑名東医療センター 消化器内科医長
野尻 圭一郎医師
すい臓がんとは?
すい臓がんとは、すい臓にできる悪性腫瘍です。臓器別がん死亡数では肺がん、大腸がん、胃がんに次いで第4位となっています。
すい臓がんは周りへ浸潤しやすいため、発見された段階で進行がんであることがほとんどです。
原因は、喫煙、肥満、お酒の飲み過ぎや、すい臓病の既往(糖尿病、慢性すい炎)、すい臓がんの家系等です。初期症状はほとんどありませんが、進行すると腹痛や黄疸(おうだん:体が黄色くなる)、腰背部痛、体重減少、食欲不振、糖尿病の悪化がみられます。
すい臓がんの根治が期待できる治療法は手術ですが、進行の度合によっては手術を行う事ができません。その場合には、抗がん剤治療や放射線治療などを行います。
すい臓がんを早期に見つけるために
従来の検査である血液検査や腹部超音波(エコー)、CTやMRIでは2cm未満の早期がんを見つけるのは難しいとされています。そこで近年、超音波内視鏡(EUS)の登場により詳細な検査を行えるようになりました。EUSは、内視鏡の先にエコーが取り付けられた機械で、それを胃や十二指腸へ挿入し、胃腸の壁を通してすい臓にエコーを当てます。至近距離から画像を得られますので、従来の検査で捉えきれなかった小さな腫瘍が発見できます。さらに、内視鏡から針を出してすい臓の細胞を取り、良悪性の区別をする超音波内視鏡化穿刺吸引法(ちょうおんぱないしきょうかせんしきゅういんほう:EUS_FNA)を行うこともできます。
EUSは被爆の心配もなく、検査前に鎮静剤を使いますので、通常の内視鏡より苦痛が少ないです。
EUSは専門性が高い検査ではありますが、当院ではこの検査を積極的に行っています。上記症状をお持ちの人や、すい臓がんが心配な人は、お気軽にご相談ください。