医師コラムvol.13
~痙縮のボツリヌス療法とは~
そのつっぱり、治るかもしれません
桑名市総合医療センター
桑名東医療センター リハビリテーション科
殷 祥洙医師(非常勤)
痙縮(けいしゅく)とは?
脳卒中や脊髄損傷などの脳や脊髄の疾病にかかると、手足が動かなくなる後遺症(まひ)が残ることがあります。まひになると最初は筋肉がだらりとして力が入りません。しかし徐々に筋肉がつっぱてきて、ひじが曲がり、手が握ったままになる、足首がガクガクし、内側にひっくり返るなどの症状(痙縮)がでてきます。
痙縮の治療は古来湯治やリハビリが主流でしたが、近年ボツリヌス療法が登場したことで一気に進歩しました。
ボツリヌス療法とは?
ボツリヌス菌が産生する毒素を用いた痙縮の治療です。この毒素をつっぱった筋肉にごく少量注射することにより、安全に症状を改善します。
個人差はありますが、手が開きスマホがもてるようになった、肩やひじが動き着替えが楽になった、足が軽くなり歩行がスピードアップしたなどの改善がみられます。なお、この効果は3~4ヵ月持続します。
副作用は?
脱力感、注射部位の痛みなどがありますが、重篤(じゅうとく)なものはまれです。現在は、十分な安全性が確立されている治療法です。
入院が必要?
注射時間は15分程度で入院は不要です。
保険は効くの?
健康保険が適用されます。また、身体障害者手帳を所持している人は自己負担金の減免が可能な場合があります。
桑名東医療センターでもできるの?
当センターでもこの治療を行っています。興味がある人は整形外科外来へお問い合わせください。