医師コラムvol.9
動悸(どうき)や息切れが気になることはありませんか
桑名東医療センター 循環器科医長
千賀 通晴 医師
最近、坂を登ったときに息切れがする、胸がドキドキする、特に理由もないのに疲れやすいなどと感じることはありませんか。年のせいかなと思っていると、もしかしたら不整脈による症状かもしれません。
近年、角界の著名人が罹患(りかん)され、社会的にも問題視されている不整脈のひとつに「心房細動(しんぼうさいどう)」があります。心房細動自体、直接命に関わることは少ないですが、放置しておくと、ある日突然に脳梗塞(のうこうそく)を起こして手足が動かなくなったり、心臓のポンプ機能が低下して呼吸困難などを起こす恐れがあります。
食生活の欧米化や高齢化のため心房細動に悩む患者さんの数は年々増加しており、60歳代で100人に1人、80歳以上になると1割近くに認められると報告されています。心房細動の原因としては、ストレス、過労、高血圧、加齢、飲酒などが代表的ですが、心臓病やホルモン異常などの疾患が隠れていることもあります。
心房細動が疑われた際には、血液検査や心電図、心臓超音波検査などで詳しく調べた上で、薬物による治療を行いますが、最近は医療機器の進歩に伴い、カテーテルを用いた手術で根治することが可能となりました。しかし薬や手術は副作用や合併症の問題もあるため、それぞれの患者さんに応じた治療を考える必要性があります。
動悸や息切れ等でお困りの人や、健康診断で心電図異常を指摘された際は、ぜひ一度かかりつけのクリニックまたはお近くの循環器科でご相談ください。