医師コラムvol.3
ファーストエイド(応急手当)
~出血の正しい止め方~
桑名西医療センター 救急科部長 佐々木俊哉医師
けがをすると出血することが多いです。出血が続くと生命に関わることがありますので、出血をなるべく早く止める必要があります。
今回は、医療機関を受診するまで、あるいは、救急隊が到着するまでに、皆さんができる出血に対する応急手当について説明します。
○止血の基本
出血を止めることを止血(しけつ)といいます。止血の基本は、出血しているところを直接、圧迫することです。これを、直接圧迫止血法(ちょくせつあっぱくしけつほう)といいます。
ほとんどの出血は直接圧迫止血法により止血することができます。
○直接圧迫止血法のやり方
応急手当は周囲が安全な場所で行います。
①ガーゼなどが入った救急箱を用意します。感染症から身を守るために、ビニール手袋を着用します。手袋がない場合は、ビニール袋で代用します。
②出血している場所をガーゼ(布やハンカチなど)で覆い、その上から直接、圧迫を加えます。圧迫は、指の平らな部分や手のひらを使います。
③出血が止まるまで、圧迫を加え続けます。ガーゼの上に包帯を強く巻けば、圧迫を加え続けることができます。
④圧迫を加えながらすみやかに医療機関を受診します。
※指や手足の根元を紐などで縛る方法は、訓練を受けた人以外は行うべきではありません。まず直接圧迫止血法を行いましょう。
○次のような場合は直ちに119番通報し救急隊を呼びましょう
①どうしたらよいのかわからない。
②大量に出血している。
③止血できない。
④大けがをしている(転落など大けがの場合は、胸・お腹・骨盤など体の内部で大量に出血している可能性があり、外見ではわかりません)。